ワインコラム

難しいと思われがちなワインの世界を、初心者の方にも身近に感じてもらえるよう、分かりやすくご紹介していく連載コラムです。

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Vol.2 ソムリエのトリセツ

Vol.2 ソムリエのトリセツ

あらためましてこんにちは。
このたびSANOMEDIAにてコラムを担当することになりました、洋風食房sangaオーナーの石川と申します。
以後どうぞお見知りおきくださいませ。

さて私、国際とか、シニアとか、いくつかソムリエの資格を有しているのですが、まだまだ認知が低い職業でして。

「いや、知ってるよ、ワインに詳しい人だろ?」

まさに仰るとおりなのですが、認知が低いというのはその接し方の部分と申しますか。
レストランにて、酒販店にて、せっかくソムリエがいるのに上手く使ってもらえないな、勿体ないんだけどな。という想いを胸に秘めながら日々現場に立っています。
自身への反省も含めて。

そこで、第1回に皆さまにお伝えしたいのは【ワインの頼み方のコツ】です。

ワインってほんとメンドクサイですよね? 横文字だらけだし、知らないと馬鹿にされそう(な雰囲気)だし、やたら作法めいたことが多いし、そもそも味(と語句の相関性)がよくわからないし。ソムリエがいうのもなんですが、僕自身もワインにまつわる排他的スノビズムが正直好きではありません。

まぁそのよくわからない世界の水先案内人として、ソムリエという専門職の存在があります。
ワインがよくわからないと仰る方に、こちらへどうぞとニコニコと手招いています。
でも、やっぱりなに聞いていいかもわからないと尻込みされる方も多いはず。そこで、

『ソムリエに何を伝えるといい?』

ワインの色?自分の味の好み?重いの?渋くないの?
もちろん仰って頂ければ助かります。こちらからもお伺いいたします。
でもサービス側からは聞きづらいのですが、できればお伝えいただきたいのは実はコレなんです。

『どれ位飲む(つもり)か』

なんだよずいぶんと現実的な話だなとお感じかもしれませんが、これには理由があります。

ボトルにせよグラスワインにせよ、あらかじめ何杯か(何本か)頼まれることがわかっているのといないのでは、そもそもご提案するアイテムが変わってくるからです。
複数のワインをお楽しみになるのであれば、色の淡いものから濃いもの、味わいの軽いものから重いもの、クイッといけるものからじっくりと味わっていただきたいもの、など様々な流れでソムリエはストーリーを構築していきます。
逆に軽めのお食事など1杯だけ、あるいはお二人で1本だけお楽しみになりたいとなれば、お好みやご注文いただいた料理にあわせて「コレ」という一つをご提案します。

懐石でもお寿司でもフランス料理でも、遍くコースには「流れ」があるのと同じように、ワインにも流れがとても大事なんですね。

具体的には
「グラスで2,3杯飲むつもりなんだけど、最初はなにがいいかな?」スタートにふさわしい食欲を増すようなキリッとしたものをご用意しようかな。

「ボトルで白赤1本ずつ頼みたいので、おすすめをお願いします」よしきた! ソムリエの腕の見せ所です、待っててください!

「二人で2本は飲めないんだけど、1本だとしたらなにが良いですか?」お料理全体をカバーするような万能型のワインがいいですかね。余裕があれば、最初に軽めのグラスワインを一杯用意してからメインのボトルへと流れれば、味わいに幅が出そうかな…

など、ご要望に合わせてソムリエはアタマをフル回転させて応えてくれるでしょう。
味わいのお好みがあればお伝えいただくのは、その後でも十分間に合います。

「オレはビール党だから最初に一杯はビールと決まってるんだよ」大いに結構です。ビールだって流れの一つです。そのあとお飲み頂くものにストーリーが生まれることで、その日のお食事はとても豊かなものになることでしょう。ソコにちょっとだけ手助けをするのがソムリエという仕事です。

ぜひみなさん遠慮無く話しかけてみましょう。
それではまた次回!

プロフィール

洋風食房sanga オーナー石川 英明(いしかわ ひであき)

  • 国際ソムリエ協会(A.S.I.) 認定ディプロマ
  • 日本ソムリエ協会認定シニアソムリエ
  • 英国WSET(Wine & Spirits Education Trust)認定国際上級資格