SANOMEDIA×さの百景 第3回 田中正造旧宅
日本の偉人、田中正造の正義。
今回のナビゲーターは秋野が担当します。テーマは、来年没後百年という節目をむかえる、日本の公害問題に初めて取り組んだ先人「田中正造」です。
今回、私は田中正造について調べる中で「正義」とは何かを考えさせられました。彼の生きた明治時代は、富国強兵と殖産興業の指針のもと、足尾銅山の銅などを輸出することで外貨を獲得し、武器・兵器を購入し軍備増強をはかっていきました。それにならうことが、国家や国民にとっての「正義」であり、目的のためには人権も環境も軽く捉えられていた時代でした。
そのような中、足尾銅山の正義を揺るがすことが起きました。それは渡良瀬川だけでなく、関東一円・利根川流域を度々襲った関東地方の大洪水でした。それまでの世論が一変しました。
「足尾銅山の鉱毒が、遠くはなれた私達の生活を脅かしている。」ようやく政府が鉱毒被害防止に本格的に動き出しました。それまでの常識や価値観を覆すインパクトは、過去も現在も人智を超えた自然の力なのかも知れませんね。
田中正造はそのような時代に翻弄され、時に孤立しながらも自分が信じる正義を貫きました。自然・環境の保全や国民(農民)の生命・生活の保障を第一に考え行動し、自身の命・財産を使い果たしてしまう仁愛が根底にある正義であったと、想像します。
彼の生家や墓(6カ所に分骨されている内の2カ所、下記イラストの場所と佐野厄除大師でおなじみの惣宗寺)が佐野に遺っています。他にも、佐野市郷土博物館においても常設展示しているそうです。日本で最初の公害の解決に挑んだ偉人の地を訪れてみてはいかがでしょうか。
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