吉水小学校×国際交流

吉水小学校×国際交流

遊びながら英語を学べる『英語でクリケット』体験

スポーツツーリズムによる地域活性化を目指し、2014年に『クリケットのまち』を提唱した佐野市。あれから10年の月日が流れ、今日では佐野市と教育機関が一体となり、学校教育の一環として、国際交流を目的とした『英語でクリケット』の特別授業を導入する学校も増えてきた。

佐野市は2014年に、当時市長だった岡部正英氏を団長とした訪問団を結成し、英国を訪れた。そこで世界最古のクリケットクラブ『マリルボーン・クリケットクラブ』と交流をはかり、クリケットを通じたまちおこしをうったえ、2016年から『日本クリケット協会』の協力を得て、コーチを年に一度、佐野市に招致している。

さまざまな国でスポーツ指導をおこなうコーチから、技術を習得できる貴重な機会。このチャンスを子どもたちの未来のために活かしたいと、佐野市立吉水小学校が特別授業に申し込み、今回の『英語でクリケット』体験が実現した。

来日したコーチのローゼル・テュイットさんは、スポーツと教育の幅広いスキルを持つプロフェッショナル。『マリルボーン・クリケットクラブ』のコーチを務める傍ら、ロンドン市内の学校で教鞭をとり、各団体のスポーツコーチとしても活躍している。

テュイットさんは、集まった子どもたちに対し、ボールに慣れるための練習として、ボールを空高く投げたり、バウンドさせたりしながら、英語で指導をおこなった。
その様子を見て練習に励む子どもたち。楽しみながらボールに触れることで、少しずつコツを掴んでいく。

ボールを高く投げあげている間に拍手を10回。さらに片手だけで投げあげ、片手でキャッチ。段階を踏みながら難易度をあげていく。最後は片手で投げあげ、後ろ手でキャッチ。難易度があがっていくほど子どもたちの顔がキラキラと輝きはじめる。

ボールに慣れてきたところで、バッティング練習へ。ワンバウンドしたボールに慣れていない子どもたちは、苦戦しながらも打ち返そうと、懸命にバットを振る。

いよいよ対戦開始。最初は戸惑いながらも、攻撃と守備をおこなうという点では野球と似ているので、だんだんとルールを理解していく子どもたち。

それぞれが声を掛け合い、チームワークを発揮しながら、攻めと守りの攻防を繰り広げた。

大きな声で仲間を応援する声や楽しそうな笑い声がグラウンド中に響く。クリケットを初めて体験したという子どもたちも、そのおもしろさに夢中になっていた。

また、子どもたちがコーチ陣に英語で質問する場面もあり、クリケットを通じて国際交流を楽しむ姿も見られた。特別授業は大盛況で幕を閉じた。

参加した子どもたちは、「とても楽しかったです。クリケットのルールや英語も学べたので、貴重な経験ができたと思います。クリケットはまたやりたいです!」と満面の笑みで語ってくれた。

特別授業の申し込みをおこなった下野誠仁教諭は、「昨年、3年生の生徒たちが楽しそうに『英語でクリケット』の特別授業に参加していたので、今年は絶対に申し込もうと思っていました。体育の授業でこれからボールを使った運動に取り組んでいくので、そのベースにもなりましたし、英語の授業で外国の文化も学んでいるので、国際理解にもつながっていったと思います。最初は緊張していた子どもたちでしたが、最後の頃は飛び跳ねながら応援をしていたので、特別授業が体験できて本当によかったと思っています。また、こういう機会を与えてくださったことにとても感謝しています」と微笑んだ。

遊びながら英語を学べるまたとない機会となった今回の特別授業。クリケットを通じて異国の文化にふれ、グローバルな世界で活躍できる人材を育む第一歩となった。子どもたちの明るい未来に向けた佐野市の取り組みは、まだはじまったばかり。

佐野市 産業文化スポーツ部 スポーツ推進課