幼児教育コラム

佐野市内から日本や海外の乳幼児教育について、学び・遊び・家庭での過ごし方など、佐野市幼稚園連合会の会長でもある呑竜幼稚園 小林理事長へのインタビュー記事を連載でご紹介。

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Vol.4 遊具のリスクとハザード

Vol.4 遊具のリスクとハザード

「大人が思っている面白さと、子どもたちが面白いと感じるポイントは全然違う」と小林理事長は話を切り出した。
例えばすべり台。大人は上からすべるところが面白いと漠然と思っている。しかし子どもたちの中には、逆からすべりながら上まで行くことが面白かったり、横からよじ登ることが面白かったり、傾斜に寝転がって空を見るのが面白かったりと、それぞれ違う。

正しい使い方以外はNGとなっている公園や園庭の遊具がほとんど。設置した側の責任問題もあり、けがや事故防止の面からすれば、もちろんそれが当たり前だろう。
また最近は、大型の遊具を設置する公園が増えているように感じる。固定された大型遊具に、遊び方やルールの説明があり、保護者の監視のもと正しく遊んでいる。

たまにしか行かない公園だったら、それでも数時間楽しく遊べるだろう。しかし、毎日通う園の遊具はそれでは飽きてしまう。
だから園には立派な固定遊具を置くよりも、先生が移動できる程度の遊具が良い。動かせば子どもたちは興味津々に集まってきて、目を輝かせて遊び始める。

大人だって部屋の模様替えや庭のレイアウト変更をしたら気分が変わって楽しくなる。ましてや子どもたちは、ちょっとした移動や新しい遊具、道具が加わっただけでハイテンションになるのは想像がつく。だから、大型の固定遊具をドーンと置くのではなく、小さくてもいいので時々場所をかえたり、ロープなどの道具を足してみたりと、変化をつけることが子どもたちに刺激になる。そして、どんな遊び方をしたら楽しいか自分たちで考え出す。自分たちで考えた遊び方はとっても楽しいに違いない。

リスクは子ども自身が注意したり、配慮をすれば防げることで、ハラハラする遊びの素となる。それに対してハザードは、物のもつ構造的な欠陥で子どもでは防げない。その区別がとても大切になる。
先生たちがしっかり見ることのできる園では、このリスクとハザードを見極め、子どもたちに一層の楽しさと自ら考えることを経験して欲しいと考えている。

プロフィール

小林 研介
(こばやし けんすけ)

  • 呑竜幼稚園 理事長・園長
  • 佐野市幼稚園連合会 会長
  • 栃木県仏教保育協会 会長
  • 佐野日本大学短期大学 教授
  • 佐野市サッカー協会 副会長
  • 私立幼稚園経営者懇談会 副会長