ナカダのパン 浅沼店

ナカダのパン 浅沼店

昭和11年創業の老舗には、佐野っ子それぞれに思い出の味が。
42歳になった”桜あんぱん”今日もお土産として全国各地へ

しっとり生地にこれでもかと詰まった上品な甘さのこし餡。真ん中にちょこんとのった桜の塩漬けとの“甘じょっぱ”効果で、もはや和菓子ともいえそうなパンをこえたパン・ナカダの桜あんぱん。

「昭和50年に生まれたので、もうアラフォーですね」 お話を聞かせてくれたのは三代目の渡辺和雄さん。あれ?中田さんじゃない…。 「そうなんです。創業者は明治生まれのうちの祖父なんですが、福島県の三春町出身で。たくさんいた兄弟の末っ子だったので、栃木市のパン屋さんに修行に出されたようです。そこから独立するときに、兄弟弟子らとの競合をさけるため浮上したのが佐野だったと。店名には出身地の三春町の住所の大字にちなんで”中田”。見ず知らずの土地でも故郷を忘れないためだったようです」 完全アウェイの土地で、がむしゃらにがんばった初代。名実ともに栃木県を代表するパン職人となり、葬儀にはお寺の前に渋滞がおきたほどだったとか。 「求心力がすごかったみたいですが、とにかく頑固に突き進む人だったらしく。まわりは苦労したようですね(笑)。創業者というのはそのくらいじゃないとだめなんでしょうね。それと対照的なのが二代目にあたるうちの父です。祖父が人の先頭に立ってひっぱっていくタイプなら、父は人の後ろに立って背中を押すタイプ。社員は家族だ、一番大事にすべきは社員、という考えの人です。基本は65歳定年ですが、働きたいならいつまででもいていいよ、っていってますね」

生地に対して、無理でしょうはみ出すでしょう、と思われるほどたっぷりの餡をまるで魔法のように包み込んでいく50〜60代のベテラン職人さんたち。 その様は、ずっと見ていてもまったくあきないほど本当に美しい。創業時からの職人も多く、とにかく離職率が低い職場だという。居心地のよさ、温かさが伝わってるパン作りの現場だった。 「三代目の私自身も、大きくする広げる、ということより、目の届くところをしっかりやっていく、お客様や社員や取引先など、とにかく人を大事にしていきたいです。人を大事にするところから美味しいものが生まれると思っていますから」

そうか、佐野にはこんなにたくさんジャムおじさんがいたのか!お腹が減って力が出ないときは、ナカダのパンへ行こう。優しい君の作ったパンをかじって明日も愛と勇気でがんばろう。

コッペパン
(画像左)
¥185(税込)~
ここ数年、都内にも“コッペパン専門店”が増えており人気再燃だが、一周回っても回らなくてもナカダのコッペパンは変わらず安定のおいしさ。

サンドウィッチ
(画像右)
¥250(税込)
親子三代に渡って佐野っ子の小腹を満たしてきたスタメン。これまでもこれからもずっと現役!
※種類によって値段が異なります。

ナカダのパン 浅沼店