SANOMEDIA×さの百景 第25回
雪の出流原 磯山弁財天

寒さが一層増し冬の訪れを感じながら、今年は雪が降るのかなと思いを巡らせていた今日この頃。百景の絵を描いた赤木さんが、当時雪の積もった日の早朝に「絵になりそうな所を探しに行ってくる」と嬉しそうに会社から出かけて行く光景を今でも思い出します。今回はそんな日の雪化粧を描いた作品の一つ、出流原 磯山弁財天を歩きました。

私が訪ねたのは11月の下旬。紅葉が終わりかけでしたが、駐車場には他県の車が停まり、数多くの人達で賑わっていました。出流原 磯山弁財天では五穀豊穣、家内安全、商売繁盛の神様として知られる白蛇様が祀られています。楼門の前では沢山の方々が写真を撮っていました。顔とも言える朱塗りの楼門をくぐり、頂上を目指すため階段を上り始めました。日頃の運動不足がこたえ、階段を登るたび息を上げながら先へ進むと、怖い顔をした蛇の石造の口から水が湧き出しています。ここで手を清め、いざ本殿へ向かう途中で櫓を支える足場が目に入りました。調べた所、崖などの急斜面に木材を組み上げて建てる懸造り(かけづくり)と呼ばれる建築様式で釘を一本も使わずに建てられており、京都の清水寺にもこの技法が用いられているそうです。こんな高く急勾配な場所で本殿を建てた職人さんは命がけだったに違いないと想像してしまいました。

本殿に入ると「阿吽の大蛇」と書かれた白蛇の像が出迎えてくれました。大蛇の口が「吽(うん)」と閉じていることから「運がつく」と言われ、縁起物とされているそうです。本殿に手を合わせ家内安全を願いました。外の景色に目をやると、キラキラ光る池の水面やのどかな田園風景、遠くには街並みが延々と広がっています。生まれ育った街の風景はこんなにも美しいのかと改めて感じ、胸が熱くなる思いでした。

これからの季節、寒さで外に出かけるのは億劫になりがちですが、改めて佐野の美しさを出流原 磯山弁財天の本殿から眺めてみてはいかがでしょうか?