ブーランジェリー モノガタリ

ブーランジェリー モノガタリ

バラバラの人生パーツが佐野駅前で見事につながった。
30代ブーランジェの終わらない物語

世界的パティシエ・鎧塚俊彦シェフの元で約6年。その後、バゲットの売上げ日本一の名店『VIRON(ヴィロン)』に4年。店主の酒本さんが弱冠29歳にして佐野駅前に店舗を構えたのが3年前だった。

「高校時代は陸上短距離をやってたんですが、当時、同学年にインターハイ出場のスーパースターがいまして。ふと違う世界を見たくなって服部栄養専門学校の中華に入りました(笑)。そこからさて就職、となったとき、またなぜか“製菓行きます”と(笑)。自分で鎧塚シェフのとこに“働かせてください”と直談判しました。この世界は先輩後輩の完全な縦社会なんで高校までの体育会経験は有効でしたね。ケーキの失敗より、遅刻とか礼儀とか精神性を叩き込まれました。第一線でやってる人にゆるい人はいませんね」

シェフが多忙を極める中、一緒に働くことが少なくなったある日、また例の「ふと」がやってくる。 「で、ヴィロンです。経験年数5年以上の中途採用のみなのに…また直接電話して、熱意ありきで採用にいたりました。前職が焼き菓子担当だったんで窯の扱いには自信ありましたが、発酵、というものがあるだけで全然別物。いちから勉強です。ヴィロンの仕事はすごくシステマチックに計算されていて無駄がない。材料も職人の技術も素晴らしかったですね」 この店の顔ともいえる“バゲット・レトロドール”は仏ヴィロン社の“レトロドール”という最高級小麦を使用していることで有名。 「さすがにそこまでの小麦は使えませんが、一応、小麦はすべてフランス産、水も硬水を混ぜて、現地に近い状態の生地を作っています。バゲットはもちろん、水分量を1%ずつとか、自家製酵母の割合を10g単位でかえたりとか、3年やって3年同じレシピのものは何もないんです」

調理パンでは服部での総菜基礎が、甘パンや焼き菓子では鎧塚シェフのエッセンスが、ハード系はヴィロンの魂が…そして全体を通して陸上で培った強いメンタルが。 「いろいろやりすぎて中途半端なんじゃないか、とコンプレックスに感じたこともあったんです。でも自分のお店をやるには全部必要なことだったみたいで…」 結果オーライ。無意識の自分が「ふと」未来の自分へのプレゼントしてくれた様々な経験値。物語のクライマックスはまだまだこれからだ。

バゲット
(画像左)
¥250(税込)
文句なしに素晴らしいこの店自慢の1本。フランス産の小麦と硬水、自家製酵母の配合で本場の味が佐野で味わえる贅沢。

カヌレ
(画像右)
¥200(税込)
仏ボルドー地方の伝統菓子。外側がカリッと香ばしく中はモチモチ。パティシエ経験からくるこうした甘パン系や焼き菓子は絶品

Boulangerie Monogatari(ブーランジェリー モノガタリ)

  • 栃木県佐野市高砂町67
  • 0283-55-4544
  • 10:00〜17:30(売切次第閉店)
  • 日曜、月曜
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