artspace & café

  • 足利市通2丁目2658
  • Tel.0284-82-9172
  • 11:00-18:00
  • 定休日:月曜・火曜(祭日の場合営業、翌営業日休)

artspace & café 外観

現代アートを軸に企画展を行っている他、音楽家などのコンサートも楽しめる。カレーをはじめ軽食やドリンクメニューなども豊富に取り揃えている。現代アートをより身近に感じられる場所を目指し、2019年にオープンした。

時間のもつ強さを感じる街並みに惹かれた。芸術を慈しむ足利の魅力。

artspace & café 代表 岩本圭司 artspace & café 代表 岩本圭司

静岡県伊東市出身。造形家。2011年~2017年、静岡県三島市にあった『大岡信ことば館』の館長を務めた経験を持つ。足利市立美術館で展示デザインに携わり、街の魅力に惹かれ、移住を決意。2019年に現代アートとカフェが融合した『artspace & café』をオープンさせた。

artspace & café 代表 岩本圭司 artspace & café 代表 岩本圭司

静岡の伊豆で暮らしていたという店主の岩本圭司さん。伊豆といえば日本屈指のリゾート地。その場所を離れ、足利の街へと移り住んできた理由を尋ねてみた。

「幼い頃からその場所にいると、かえってその場所のよさに気づかないことってあると思うんです。伊豆もいいところですけど、足利は足利ですごく魅力があるなと感じてたので。芸術を好きな人がたくさんいることもわかったし、古い建物が残る街の景観っていうのも僕は好きでしたね」

岩本さんが足利を訪れるようになったのは、詩人である吉増剛造氏が足利市立美術館で展覧会を行うことになったのがきっかけだった。吉増氏の展示デザインを担当していた岩本さんは、展示で使用することばの造形物をつくっていた。その際、伊豆から1年半ほど足利へ通っていたという。

「ことばの展示をするのに、足利市立美術館の多目的ホールを借りて造形物をつくっていました。足利に来るといつも鑁阿寺が見下ろせるホテルに泊まっていたんですが、連泊しているうちにいろんな人と親しくなったっていうのと、桜や紅葉、雪景色に至るまで、四季折々の鑁阿寺の美しさにはけっこうやられましたね(笑)」

足利の街は、他の街より芸術を楽しむ文化が根付いているという。2013年から2019年まで開催されてきた『あしかがCON展』もそのひとつ。市内の古民家や空き店舗などを利用し、足利及び近隣の作家を中心に開催していた美術展だ。

「あしかがCON展のような展覧会が何年も開催されていたっていうのは、この街に芸術を志す人が多いってことだし、それを支えてる方もたくさんいるってことなんですね。それって街のパワーだし、魅力だと思います。僕もおととし参加させてもらったんですけど、そこで出会った人たちとすごく親しくなりました」

artspace & café 店内 artspace & café 店内

3種のカレー チキンカレーは7種類ほどのスパイスが入っていてさわやかな辛さが特徴。野菜のカレーはタマリンドを使った酸味のあるスープカレー。パイナップルのカレーは甘酸っぱさがクセになるスープカレー。 チャイ アッサムとニルギリのブレンドに、カルダモン・クローブ・ジンジャー・シナモン・ベイリーフをミックスした本格チャイ。 3種のカレー チキンカレーは7種類ほどのスパイスが入っていてさわやかな辛さが特徴。野菜のカレーはタマリンドを使った酸味のあるスープカレー。パイナップルのカレーは甘酸っぱさがクセになるスープカレー。 チャイ アッサムとニルギリのブレンドに、カルダモン・クローブ・ジンジャー・シナモン・ベイリーフをミックスした本格チャイ。

CON展に参加し、それまで漠然と抱えていた想いが動き出す。CON展で出会った人づてに、かつて老舗旅館だった場所を借りられることになり、『artspace & café』をオープンさせた。

「長年展示デザインをやっていたから、それにつながる仕事はしたいと思ってました。現代アートの敷居を低くしたいという想いもあって、食とアートをつなげたcaféをやってみようと。現代アートに興味がない人でも、ちょっとお茶を飲みに来たときに自然に目に入ってきてしまうような、そんな空間が理想です」

軽食メニューも充実しているartspace & café。学生時代のころから友だちに料理をふるまうのが好きだったという岩本さん。特に、南インドカレーをもとに考案されたオリジナルカレーは絶品だ。料理をつくることも現代アートに触れることもどちらも楽しんでいる様子が印象的だった。

「コーヒーも好きで30年ぐらい自分で焙煎してました。カレーつくるのもそうだけど。だからここは僕の趣味の館みたいな感じです(笑)」

足利の街並みに惹かれるのは、時間の蓄積が垣間見えるからだという。重ねた月日は『古び』となり、そこに時間のもつ強さが現れていく。足利の街に今後も歴史を感じる建物や家屋が残っていてほしいと岩本さんは願う。

「自分が学生時代鋳物を勉強していたということもあるんでしょうけど、『古び』っていうのに惹かれます。街の中にある『古び』っていうのは、風と温度と太陽と雨なんかの水分とかがつくり出してる色だったり深さだったりするんで、そういうものをあんまり壊してほしくないなとは思いますね」