- 足利市伊勢町3丁目9-9
- Tel.0284-42-9608
- 9:00-19:00
- 定休日:木曜
1974年オープンの老舗喫茶店。そのほっと一息つけるような佇まいが何とも魅力的。一粒一粒丁寧にハンドピックして悪い豆を排除し、良い豆だけを選んで直火焙煎している。日替わりケーキを楽しみにしているファンも多数。
お店のオープン以来、先代の背中を一番近くで見てきた2代目。先代の教えを守りながら毎日丁寧にコーヒーを淹れ、焙煎とフロア担当の弟・大介さんと息の合ったサービスを提供。無類の写真好きとしても有名で、インスタグラムで美しい写真を随時アップしている。
1974年オープンのモカ直火焙煎コーヒー店。現在は2代目の堀越敬介さん、大介さん兄弟が切り盛りしている老舗の喫茶店だ。50年近く足利の歴史を見守ってきた同店は、どのように誕生したのだろうか?兄の敬介さんに、先代のお父様についてうかがった。
「もともと父は、広告を作る仕事をしていました。団塊の世代でちょうど脱サラブームがあって、自分も独立して好きなことを仕事にしたいと思ったそうです。そこで大好きだったコーヒーを仕事に選んだんですね。飲食業界は未経験だったので、先日閉館した足利市民会館内にあった喫茶店、ロイアルで修業しました」
いまも変わらずお店のあるこのテナントはもともと洋服屋が入っていたが、この場所が気に入り、もし空いたらここで店を始めようと思っていたらすぐに空いたそう。そこからは、とんとん拍子に話が進んだそうだが、トラブルもあったようで。
「店を始めた当初は焙煎済みのコーヒー豆を仕入れていたんですが、味見を繰り返していたら胃を悪くしてしまったらしいです。それならばと自分で焙煎を始め、ハンドピックもやって、良い豆だけを使った体に良いコーヒーを目指したんですね。発端は自分の健康のためだったんです(笑)」
1974年のオープン当時は日本の安定成長期で足利にも活気があった頃。お客様にも恵まれ、そうとう忙しい毎日だったようだ。
「当時は営業時間が今より長く、始めたばかりの焙煎もうまくいかないことが多くて、いつも朝帰りだったようです。それでも近所の定食屋のご主人とかとスクーターを乗り回したりしてよく遊んだそうですよ。当時の人たちはよく働いてよく遊んだんですね」
その後は街の雰囲気が大きく変わりはじめた。車社会となって街なかを歩く人が減り、それにつれて旧市街のお店が減って、空き家も目立つようになった。それでも、変わらない部分はあるという。
「足利は個人商店が多いですよね。老舗も多いですし、それが良いなと思います。昔から織物をはじめとした商売が盛んでしたし、料亭があって、花火大会もあって、お客様を招待したりして、そんな粋な文化、何かを面白がる文化がある。今でも、何かわからなくても面白がってくれる、応援してくれる方が多いんです」
そんな足利だが、最近は良い変化が起きているという。
「昔は何かイベントをやるにしても、行政側と店側が別々に動いてました。でも今は、いっしょになって街を盛り上げていこうという方向になっている。街をあげてお客様を迎え入れる体制ができているように思います」
そんな変化が起き始めた足利に、今後期待するところはどこだろう?
「足利には、ヨーロッパ的な街であってほしいなと思ってます。伝統的であり、職人気質な街、個性的な街というか。そしてそこに行かないと無いもの、触れられないものを大切にし続けてほしい」
実は、お店を継ぐとは決めていなかったという敬介さん。お店に入る前はパン屋で働いていたそう。そしてお店を手伝うようになったとき、弟の大介さんはまだ学生で、専門学校に通っていた。卒業後にいっしょに店を手伝うようになり、主に焙煎を担当するようになった。そうして、自然に兄弟で営む今の形に落ち着いたそう。こうしてまた、お店の歴史も続いていくのだろう。
最後に、これからの抱負をうかがってみた。
「これからもみなさんに喜んでいただけるものを提供していきたい。足利に帰ってきたら、おかえり、とお迎えできる場所でありたい。毎日そんな事を考えています」