mother tool

  • 足利市昌平町2352-1
  • Tel.0284-43-33548
  • 12:00-17:00(土日 18:00)
  • 定休日:水曜・木曜

mother tool 外観

中村さんの両親が営んでいた組み立て工場から、自分たちの手でものづくりがしたいと2006年に設立された。2009年にショールーム兼ショップを足利学校の通り沿いにオープンさせ、作り手の想いをつないでいる。

個性的な人が集う街。足利という街を世界に知ってもらいたい。

mother tool 代表取締役 中村実穂 mother tool 代表取締役 中村実穂

群馬県邑楽町出身。両親が営んでいた組み立て工場を継ぐために都内から帰郷。2006年にmother toolを設立。2009年には足利市昌平町にショールーム兼ショップをオープンさせる。全国の工場やデザイナーと連携し、プロダクトの企画やディレクションを行っている。

mother tool 代表取締役 中村実穂 mother tool 代表取締役 中村実穂

mother tool設立から15年。足利の街が変化していく中で、代表の中村実穂さんに足利の印象を尋ねてみた。

「足利は個性的な人が多いのが魅力だと思います。でもつかず離れず、適度な距離感を保っているところが心地いいんです。同業者同士もみんな仲がいい。みんな自由なので、本来ならばカオスになるところが、適度な距離感によって緩和されているというか。おもしろい街ですよね」

中村さんは隣町の群馬県邑楽町出身。都内の短大を卒業し、インテリア・家具デザインの専門学校に進んだのち、両親が営んでいた組み立て工場を継ぐために地元へ戻ってきた。

「mother toolを立ち上げたころは店も数える程しかなかったと思います。そんななか、ぽつんと開業しました(笑)」

中村さんの実家の工場はオーディオの組み立て業として創業したが、海外生産の波を受け、中村さんが帰郷した頃はパチンコ台のユニットを組み立てる仕事がメインとなっていた。

「1日に何千台と組み立てても、台の入れ替わりとかですぐ廃棄されちゃう。私、何やってるんだろっていう虚無感がずっとあって。だから、下請けじゃなく、自分たちの手で作りたいって想いが募っていったんですよね。それで学生時代の恩師であるデザイナーに相談したり、製品をつくる工場とかと出会って、mother toolを立ち上げることにしたんです」

それまで組み立て業を生業にしていたので実家の工場には製品を作る機械もない。あるのは技術だけだった。

「パチンコの台はモデルが毎回変わるので、組み立てたものを一度バラしてから、効率よく仕上げられる工程を分析して、それにあった治具を作っていくんです。その技術を活かせるプロダクトはないかずっと探していました」

mother tool 店内 mother tool 店内

tempo perspective 国産ヒノキを使ったモビール。絶妙なバランスで揺れる不思議な動きが魅力。 mamma 天然木を使ったmother toolオリジナルの時計。木の種類によって印象が変わる。 tempo perspective 国産ヒノキを使ったモビール。絶妙なバランスで揺れる不思議な動きが魅力。 mamma 天然木を使ったmother toolオリジナルの時計。木の種類によって印象が変わる。

そんなとき、モビールを作ってみないかと恩師から提案を受ける。いざ制作にあたると、工程分析や治具の制作が必要になり、繊細な組み立て技術がなければプロダクトとして成立しないことを知った。モビール制作はそれまで培ってきた技術が活かせる絶好の機会だった。

「モビールは組み立てが繊細で、きちんとした治具を使わないとつくれない。デザイナーや作家さんは多くいるけど、製品を量産できる技術を持ったプロダクトメーカーが世界的に見てもほとんどいなかったこともあって、そこに力を入れることにしたんです」

中村さんは足利の街を世界に知ってもらおうと、足利でとれた原料を積極的に取り入れ、市内の工場と連携しながら製品開発を行っている。現在、モビールに使用されるパーツの一部である、アルミとステンレスは足利産のものを使用している。

「足利の工場は、柔軟な対応をしてくださる方が多いので、同じ目線でものづくりができることもありがたいです。モビール制作に携わって、足利市内の工場と直接つながることで地元も元気にすることができればと思っています」

mother toolは、『もとになる道具』という意味を持ち、人と人、モノとモノをつなぐきっかけになってほしいとの願いが込められている。作り手と使い手、ものづくりの技と技。さまざまなものをつないできた中村さんにはさらなる野望があるという。

「私たちがつくるモビールを世界に広めたい。足利産の材料を使って、足利の工場で、こんなにいいものが作られているんだと世界に発信していきたいです」

今後の足利に期待するものはひとつだけ。

「若い世代の子たちが帰ってきたいと思えるような街になっていてほしいですね」