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自然なモノ・コト[わたの花見学会と草取り体験取材:前編]

広がる綿畑のあちこちであわい黄色の花が咲き、
その後ろでひっそりと小さなつぼみが膨らんでいた。

薄い雲が空を覆う8月18日、特定非営利活動法人渡良瀬エコビレッジの「わたの花見学会と草取り体験」へ訪れた。広がる葦原、渡良瀬遊水池近くにある綿畑ではたくさんの綿花が咲き、その後ろで小さなつぼみが膨らみ秋を待っていた。

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さらさらと乾いた土の上、根を張る綿の茎は凛々しく、背筋をはって上へ上へと伸びようとしている和綿。この畑ではカエルやバッタなどたくさんの生き物たちがいつも一緒に暮らしているのだろう、畑道を通るとピョンピョンと来訪者の足下からそっけなく去って行く。

わたの花見学会は私たち取材班とエコビレッジや環境を研究する学生だけと、お盆休み中ということもあり少し淋しい人数となった。それでも事務局の町田佳子さんの話を聞きながら土にふれ、あわい黄色の花を観察したり、畑の仲間となろうとしてわりこんできた草たちを丁寧に抜いたりと、なれた景色の日常とは異なる、ゆっくりとした時間の流れをこの自然の中で感じることができた。

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日本でもかつては、各地で綿の栽培がおこなわれ、その風土にあった和綿が多くあったという。しかし現在、和綿の国内自給率はほぼ0%であるとのこと。続け分かりやすく深く和綿や畑について語る町田さんの言葉には和綿、自然環境への思いがつまっている。つまり私たちが着用するコットン製品のほとんどは海外で育てられた綿ということになる。そしてオーガニックコットンとして生産されている少数のモノを除けば、農薬や枯葉剤を使用し自然環境よりも生産性を重視したモノとなるのだろう。ふと自らが日本で育てられた素材やモノに囲まれていないことに気づき、どちらが良い、悪いではなく静かな淋しさをぽつんと感じた。

遠く忘れかけていた土の手触りは懐かしく、毎日叩くキーボードの温度よりも深く優しく感じ、同じ自然の中で一緒に暮らす仲間であるはずの生き物たちと疎遠になってしまっていたことを気づかされた。一緒に自然の空気を共有した和綿の花たちが、もっとこれから空に向かって花びらを広げ、季節をまたいでふわふわのコットンボールとなりはじける頃に、もう一度この場所の空の下で再会したいと思った。

特定非営利活動法人 渡良瀬エコビレッジ

栃木県栃木市藤岡町大前1729-1
0282-62-2677
http://blog.canpan.info/watarase
watarase-ecovillage@bz03.plala.or.jp

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