GOURMET, SANOMEDIA ラーメンファイル, 過去の特集

みんなが食べやすくて、くせになる味が、はつがいの味。

 さっぱりとした醤油の手打ち麺が「ラーメン」であると、幼少の頃から地元の味を食べ尽くしてきた人々に「つけ麺」という新しい「美味しさ」を提供してくれる場所、「麺処はつがい」。多くの常連さんが通う若い世代にも当然と親しまれる「はつがいの一杯」は美味しい可能性が盛りつけられている。

 訪れた人に小気味の良い所作で工程をこなす姿と、優しい笑顔で対象的な魅力を与えてくれる店主。人と同じように慣れ親しんだ味や店舗のスタイルでは、この街で暖簾を掲げる意味がないと語るその言葉には深い情熱が今も尚、熱く宿っている。「地元に戻る時は自分の暖簾を掲げる時と決めていた。それには街の人に美味しいラーメンが他にもある事を知って欲しいという思いもありましたね。受け入れてもらえるまでに少し時間がかかったかもしれないけれど、今は家族連れや常連さん達に喜んでもらえる店に少しなったかなと思ってます。」


 ラーメンを問えば「佐野ラーメン」という答えがかえってくるほど、この街の人々の意識の中には永く深く、いつもの素朴な味が当然のように存在する。素朴な味を食べて育った地元の人間である店主が、自ら味を巡り研究して腕を磨いた末に生まれた美味しい「つけ麺」。ざらつきのない濃厚なスープと太麺が絡み合う飽きのこない美味しさは、個性という選択肢の少なかった街のラーメンに、新しい美味しさを伝える一杯だと素直に感じる。

変わらない存在である為に、変わっていく必要性を継続しながら極めていく。

 同じことを同じように継続していくことが、今一番「美味しい」を提供することのできる最も大切なことであり難しいこと。その中で感じた新しい発想やきっかけから生まれる一杯がこの店に訪れる人々を飽きさせない理由の一つ。「時代の流れを感じながら、変わらない為に変わることを目指し追求していくことが、今もこれからもこの店のあり方。今、考えることのできる理想を追いながら、努力し継続していくことを大切にしていきたい。」およそ半日もの時間をかけてスープを炊き込み、人々を迎え入れる「麺処 はつがい」。この街との濃密な時間はこれから、「街の一杯」としての存在をきっと深くしていくだろう。


 佐野という街と人が出会った「つけ麺」という新しい美味しさには、変化する時代を楽しみながら積み上げていく魅力がある。外に出た時、屋号の入った暖簾がこの新しい可能性を誇らしく伝えるように風に揺られていた。


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つけ麺/700円

【 麺 】
食感の良い太ストレート麺は弾力が魅力。
【 スープ 】
滑らかな口当たりと飽きのこない濃厚なスープ。
【 スープ中のトッピング 】
短冊状に切られた煮込みチャーシュー、歯ごたえも美味しい穂先メンマがスープと絡み合う。


麺処 はつがい

佐野市富岡町1528
0283-22-3070
11:30~14:30、17:30~22:00(日・祝日は21:00まで)(スープ終了時閉店)
定休日:水曜日
濃厚でありながらも口当たりの良いスープに絡む麺。いつの間にか癖になる美味が味わえる店に並ぶ品は全て店主の自信作。街の「つけ麺」を一度、お賞味あれ。

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