GOURMET, 過去の特集

街に流れる珈琲の香り、昔ながらを続ける直火式焙煎モカ

レトロな雰囲気で街に佇む。
隣り街の老舗カフェには、手間隙をかけて提供する珈琲への変わらぬ愛情がある。

 道路に面した煙突から珈琲の香りに誘われ、古いドアを開け店内に入るとより深い香りが漂う。今も昔ながらの直火式焙煎で珈琲を提供する足利市の「モカコーヒー」。ここ老舗カフェでは前記のとおり「直火」による焙煎を今も続けている。直火焙煎は他の焙煎方法よりも、力強く、豆本来の輪郭がでやすい。けれども、豆自体の欠点も出やすくなると語る。香り立つ銀色の焙煎機の中では豆たちが転がりあっている。

 いい豆はより良く、わるい豆はもっと悪くと個性も欠点も出やすい直火焙煎。そのため、いい生豆を仕入れることが第一、その中にもある欠点豆をハンドピックして取り除く、そしてローストしてからもう一度ハンドピックをして良質な豆だけにしていくと聞いた。ひとつひとつをピンセットで取り分ける作業は寡黙で時間のかかる作業。モカコーヒーが続ける昔ながらの直火焙煎には、手間隙かけて大切に豆を扱うという美味しさへの美学がある。香ばしい香りを店内へと送る焙煎機の中では豆の焼ける乾いた音がしていた。

 レトロな外観と内観、ここには時代の流れから少し距離を置いたような優しい雰囲気が珈琲の香りと一緒に流れているようだ。訪れるお客さんは自分なりの楽しみ方で時間を過ごしていく。お気に入りのひとつを頼み会話なく新聞を読む人、カウンターに座り会話と一緒に香りを楽しむ人。当然、手にはコーヒーという友も一緒。

 モカでは互いを組み合わせながらできた8種類のブレンドが手書きメニューに書かれている。その中から自分の好みを見つけてみるのはどうだろうか。
ふわっと甘いホットケーキは寒いこれからの季節に心和む味。最近ではこの雰囲気を楽しみに若いお客さんも足を運ぶという隣り街の老舗カフェは、美味しいコーヒーをお客さんに喜んでもらいたいと、創業より変わらないポリシーをもって営業している。

 いつでも優しくむかえてくれるモカ、夕暮れ時には直火焙煎の変わらぬ味で帰りを待っていてくれるカフェ。時代の風に流されることなく店内からもれる珈琲の香りが今日も街へと流れていく。


モカコーヒー since1974

栃木県足利市伊勢町3-9-9
0284-42-9608
9:00〜21:00 木曜定休



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