GOURMET, 過去の特集

Cfa Backyard Winery[シィエフエ バックヤード ワイナリー]

足利の街でラムネ、清涼飲料水を製造する株式会社マルキョーの工場内に存在する醸造所。
農場を持たない小さな醸造所だからこそ表現できる現在と未来、バックヤードへ訪れた人々をワインの魅力へ誘うワイナリー。

ここはCfa Backyard Winery[シィエフエ バックヤード ワイナリー]。足利の街で甘い香りとカラフルなラムネ、清涼飲料水を造り続ける「株式会社マルキョー」の工場内にある小さな醸造所。

ラムネ製造会社の畑を持たないワイナリー、ワイン造りの知識がない人間が聞くと本当に可能なのか?と思うかもしれない。けれども代表取締役の増子敬公さんと増子春香さん、二人のワインメーカーはこのことを挑戦や夢ではなく、現実的な事だと語る。二人が数多く携わってきたワイナリー立ち上げの経験と、これまでに重ねられた知識は現実的な未来を見据え楽しみながら、もうすでに人々を自分たちのワインで喜ばせている。小さく囲われた醸造所、この日に沈む光が並べられたワインをほのかに照らしている。

ラムネの気泡をデザインしたハウスマークは可愛く、とても印象的。初出荷ワインを語るラベルデザインにも二人の考えや、想いがたくさん詰まっている。

一般の方はワインを造るということにリアリティが少ないという。「どんな場所、状況で、どんな色や大きさの葡萄からワインとなり、生まれてくるのか。100年後、200年後も造られていくワインを日本の文化の中に残していく為には、私たちがオープンな仕事をすること、この仕事に興味をもってもらうことが大切」と語る春香さん。この日この場所で見た大量の葡萄の姿、一粒を口にし感じた甘さと、絞り出された果汁の味、その言葉のリアリティが体験と繫がり合う。


日本の葡萄で造る「国産化」からこの国の湿度や気候・環境に適応したワイン造り「日本化」をコンセプトとしているこのワイナリー。海外では規模は違うが同じように工場でワインを造っているという。そして、この場所へは日常的に誰でも見にきてくれていい。敬公さんはこの醸造所から広がる未来を想い描くように「ワインは説明商品、ここへ来れば何だって教えてあげる。これまで集めた文献にワインの情報、造ることは難しいことではないし、自分で造ったワインは絶対に美味しいんですよ。葡萄が採れたからワインを造ってほしい、そんな人が訪れたら目標達成かもしれない。ここに遊びに来てくれた人がこの先、ワイナリーをやってくれると嬉しい」濃くなり始めた光の影は二人の語り言葉に宿り、深く余韻を残していく。
一つ一つの工程を二人で行っている様子は本当の二人三脚。訪れた時間の作業は大量の葡萄から果汁を絞り出す作業。圧力をかけられ果汁を絞り出された葡萄たち、機械から出てきたその円柱の固まりは「ケーキ」と呼ばれていた。葡萄のケーキに触れると硬い粘土のような質感。訪れる日によって違う工程を見ることができ、体験できるこの醸造所は興味を持つ人々が訪れるのを待っている。

その味を曖昧に難しく表現されることの多いワイン、魅力ある楽しみ方の一つとして語ることも大切かもしれない。けれどもこの日、この場所で感じ知ることができたのは、ワインの素直な楽しみ方。それは、味を学び語ることから始まるワインの魅力ではなく、生まれ育つ過程を見つめる楽しみ方。自分の子供のように可愛く美味しいワインは言葉で語りすぎないのがちょうどいい。


Cfa Backyard Winery
[株式会社マルキョー]

足利市島田町607-1
0284-72-4047
http://winemaker.jp
清涼飲料水とワインを造るこの会社には、楽しい事へと向かう冒険の日々が今日と明日、そして、これからも存在していく。

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