過去の特集

山懐に囲まれて。家族でつむぐ、暮らしと農業。[関塚農場]

周辺を小高い山々に囲まれた農村地帯。
耳を澄ませば虫の声、鳥のさえずりがこだまし、時折、ニワトリの鳴き声が響き渡る。
今年もまた、収穫の時期がやってきた。
刈り取りを前にした田んぼでは、野を駆ける風が稲穂を揺らす。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」のことわざ通り、一陣の風が、その出来具合を知らせてくれる。
縁もゆかりもない佐野市で新規就農した関塚さん一家は、過疎化が進む中山間地域で米と野菜づくり、養鶏を営んで12年が過ぎた。田舎暮らしもすっかり板に付いたが、耳障りのいい「田舎暮らし」という言葉では置き換えられない、確固としたこだわりと生き様がそこにはあった。
夏の暑さも一段落した初秋のある日、ハーフセルフビルドで建てた母屋と研修棟からなる住まいを訪ねた。

有機農業との出会い、縁もゆかりもない土地で新しい生活が始まる。

vol31_P03_02埼玉生まれの関塚学さん(41歳)は大学で法律を学んだ後、民間企業に就職。わずか1年で退職し、その後、自分探しの旅に出た。

行き先はオーストラリア。ファームステイ先で有機農業と出会い、食と環境と暮らしをバランスよく体現する現地の人々のライフスタイルに感銘を受ける。

有機農業とは一般的に、農薬や化学肥料を使わず天然由来の肥料を用いた農法を指す。自然の摂理に逆らわず、自然の恵みを生かした農業のことだ。

現地で有機農業の本質に触れ、就農への思いを強くした関塚さんは帰国後、起業資金を確保するために生協で配達の仕事に従事し、その後、茨城県の有機農家で1年間、住み込みで農業研修に参加する。妻・知子さん(41歳)と出会ったのもそのころだった。

やがて二人は住まいと農地を求めて関東近郊を東奔西走する。行き着いた先は佐野市(旧葛生町)の農村地帯だった。地元で出会った農業委員の口利きもあり、無償で農地を貸してもらえることに。

平成14年、二人は結婚と同時に同地での就農を決意する。

循環型農業を実践。

安心・安全な野菜づくりと、鶏が地面を自由に動き回れる平飼い養鶏からスタートした関塚農場は、現在8反の畑で約60種の野菜を栽培し、養鶏は約300羽まで増えた。関塚さんは自らの農業のあり方についてこう話す。

「養鶏は卵を生産するだけが目的ではありません。野菜づくりと養鶏は切っても切れない関係にあり、鶏糞は農産物に欠かせない肥料になります。こうした持続可能な循環型農業を実践したいと常々思っていました」

今後は、落ち葉などからつくる堆肥や、雑草も含めた植物を田畑にすき込む緑肥づくりに取り組む予定とか。「循環利用を念頭に、今よりももっと、土づくりを極めたい」と意欲満々だ。

また、当初自家用だった米は3反まで拡大。有機米として出荷するようになった。

「米づくりは手植えから始めました。一時はアイガモ農法にトライし、大成功しましたが、新たにもっと効率の良い方法に挑戦。今年から雑草が生える時期に深めに水を張って管理する深水管理にチャレンジするなど、試行錯誤を続けています」

試行錯誤しつつも、自らの取り組みを生き生きと語る関塚さん。農業は自然が相手だが、何事もあきらめず、果敢にチャレンジを繰り返す。その横顔に農業家として生きる覚悟が見てとれた。

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自宅近くの畑ではレタス、キャベツ、白菜などのほか、大根、サトイモ、ゴボウなどの根菜類がすくすくと育つ。肥料は鶏糞が主体。有畜複合農業のメリットを最大限に生かしている。
自宅近くの畑ではレタス、キャベツ、白菜などのほか、大根、サトイモ、ゴボウなどの根菜類がすくすくと育つ。肥料は鶏糞が主体。有畜複合農業のメリットを最大限に生かしている。

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土間の鶏舎でストレスなく、伸び伸びと育つ鶏たち。茶系のボリス・ブラウンと黒系のヒペコ・ネラの2種を飼育。健康に育てる基本は環境と食べ物。飼料は国産の麦や米ぬかを中心に蛎殻、くず大豆、魚粉などを配合。健康な鶏に抗生物質やワクチンは必要ない。
土間の鶏舎でストレスなく、伸び伸びと育つ鶏たち。茶系のボリス・ブラウンと黒系のヒペコ・ネラの2種を飼育。健康に育てる基本は環境と食べ物。飼料は国産の麦や米ぬかを中心に蛎殻、くず大豆、魚粉などを配合。健康な鶏に抗生物質やワクチンは必要ない。

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関塚農場

〒327-0517 栃木県佐野市秋山町1562
0283-87-0536(TEL&FAX)
関塚農場ウェブサイト