CULTURE, 過去の特集

アートな街歩き[葛生地区編]

歴史と歩んできた葛生地区を散策。
歩いて感じることのできたこの街のアートなモノ・コト。


祭事を彩る印ばんてんは、歩み続けてきた染物店の歴史。

 葛の里壱番館から道路を挟み向かい側で優美に佇む建物。鮮やかな赤紫の染め暖簾には趣きある文字で「染」の文字が描かれている。葛生の街を歩き、この日に訪れたのは「廣瀬染物店」。明治元年より創業、百五十年の歴史を持ちこの街と一緒に歩んで来た染物店。

 たくさんの「印ばんてん」が飾られた店内。昔ながらの染め方から、現在のニーズに合わせた染物について語ってくれたオーナーの廣瀬さん。染物についての知識と経験、歴史を丁寧に話してくれた。「ひとつひとつの文字から作り上げて染めていた時代から、今はデータを出力して作業をする時代。でもやっぱり趣や表情は手で描いた文字の方がいいと思うよ。」自らの技術にこだわりと自信があるからこそ、本当の魅力を伝えることができるのだろう。使っていくほどに変わっていく染物の表情の様に豊かさが伝わってきた。

 のぼり旗を染める作業を少しだけ見学。型の抜かれた大きな版を使って一枚、また一枚と染めあげられていくのぼり旗。その表情には奥行きある美しさが宿っていた。


vol29_map033

たくさんの印ばんてんたちが飾られた店内。飽きのこない趣あるデザインは眺めているだけで時代を感じることができる。作業場では無駄のない所作でのぼり旗を丁寧に作り上げていく。


廣瀬染物店


佐野市葛生西1丁目10-33
0283-85-2202

vol29_map030


色鮮やかに、壁に描かれた、フレスコ画の世界観。点在するアートは、歩く人を歴史に誘う。

vol29_p07_06
 蛍光色のように色鮮やかなフレスコ画。葛生伝承館の壁に広がるこの世界は、少しずつ、少しずつと随所に描かれた「佐野らしさ」と一緒に完成へと向かっている。以前訪れた時には無かった色、そして細やかに広がる世界を楽しめる場所でもある。完成は平成37年の予定、とても横に広い壁のキャンバスには、いもフライをほおばる姿やカタクリのドラムたたきなど随所に「佐野らしさ」が描かれている。フレスコ画のアートな世界観に潜む「佐野」を探してみてはどうだろうか。

 フレスコ画という石灰の街ならではの絵画技法は定着溶剤を使用しないで、濡れた石灰の上に顔料をのせて描いていくもの。なじみの少ない技法で描かれた絵は街に点在し、この街を歩く人々の好奇心を次の探索へと導いてくれる。江戸時代より栄えた鉱都葛生、これまでの歴史を色鮮やかに語り佇むフレスコ画を眺める時間には、いつまでも色あせないアートな時間が流れている。

vol29_p07_05

平成18年の9月より制作開始の文化と自然、そして人々をモチーフとして描かれたフレスコ画は高さ3.1m、横は23mの超大作。


街の歴史と文化は、アートな街歩きで知ることができる。

vol29_map000 趣の残る街並みにはアートな出会いが溢れている。この街で採取される原生生物の化石「フズリナ」の入った椅子や、街交番に描かれた「フレスコ画」。葛生駅にはどこか懐かしい雰囲気が漂い、訪れた人をノスタルジーの世界へと誘うようだ。目的を持って歩くことをしなくても、自分の目に映るモノに素直に向き合うことができれば、葛生という歴史ある風情の世界観を歩き楽しむことがきっとできるだろう。

 美術館に化石館、そして伝承館。美術に触れて歴史と文化を知り、ゆっくりと楽しむことができる街歩き。そして、味噌まんじゅうから、いもフライ。壱番館を中心に美味しい食べ物を探す街歩きだってできるのがこの街の魅力。石灰の産地だけあって、メイン通りは大型車が行き交う交通量の多さだが、行き交う車の姿さえ葛生という街の文化の一つ。歩いて体感する「きっかけ」と「出会い」は、歩んでこそ感じるアートな街の楽しみ方。

佐野市立吉澤記念美術館

佐野市葛生東1-14-30
0283-86-2008
開館時間:9:30~17:00
休館日:毎週月曜日(祝休日の場合は開館、翌日休館)、祝日の翌日(祝日の翌日が土・日曜の場合は開館)、展示替え期間、年末年始(12月29日~1月3日)
観覧料:一般510円(20名以上の団体は460円) 大学生以下・障害者手帳等をお持ちの方は観覧無料

吉澤コレクションを中心に江戸から現代の日本絵画、近代陶芸を観覧できる美術館。のどかに佇みゆったりと時間を過ごすことのできる場所。

vol29_map009vol29_map014



佐野市葛生化石館

佐野市葛生東1-11-15
0283-86-3332
開館時間:9:00~17:00
休館日:毎週月曜日(祝休日の場合は開館、翌日休館)祝日の翌日(祝日の翌日が土 ・日曜の場合は開館)年末年始、その他臨時休館あり
入館料:無料

葛生地域の石灰岩を利用した地域の発展を学べる化石館。かつての動物たちの化石展示を眺めれば、きっと古代への思いが深くなる。

vol29_map012vol29_map013



佐野市葛生伝承館

佐野市葛生東1-11-26
0283-84-3311
開館時間:9:00~17:00
休館日:毎週月曜日(祝休日の場合は開館、翌日休館)、祝日の翌日(祝日の翌日が土・日曜日の場合は開館)、年末年始:12月29日~1月3日、展示替え期間
観覧料:無料

4つに分かれた館内の展示室でそれぞれのテーマに沿った展示が楽しめる伝承館。郷土の財産に触れることで街の魅力を再発見できるはず。

vol29_map010vol29_map011